陽と陰

 人間誰しもいつも明るく輝いていたい。そして、確かにそんな時期もある。仕事、健康、経済、全てがうまくいくときである。こんな時は何も考えずに単純に幸せを謳歌することができる。しかし、突然に思いもよらない出来事が忍び寄る。例えば、病気、家庭の問題、経済的問題によって今まで築いてきたものが壊れていってしまう。

 しかし、よく考えてみると全ての物事がプラスに働いていた時には、今まで手にしていたものの本当のありがたみがわからないのであり、マイナスに失ってはじめてその価値がわかるのである。健康な時には健康のありがたみがわからず、豊かな時には豊かさがどれほど感謝なものなのかわからないのが人間だ。こうしたことを理解させるために自然は摂理の中で巡っていく。陽の力を伸ばすために陰の時期を、陰の時期を越えるために陽の時期を。全てが中和され、バランスよく循環するようになっている。

 結局、一番ふさわしい時期にその人その人が成長のために与えられる課題というものが一生の中で巡ってくるわけである。こう考えると人生の瞬間、瞬間に無駄な時期は一つもないことがわかる。