鈴木大拙

知性の及ばない世界

丁度川の岸へ立って、水の流れを眺めて、不快だろうか、浅いだろうか、冷たいだろうか、熱いだろうかといろいろと想像をたくましうするのと同じことだ。宗教の世界ではさういうふことを妄想と云ふ。また情識と云ふ。加賀の世界、分別の世界ではそれもよから…

鈴木大拙博士インタビュー

1964年5月21日放送。 鈴木大拙 NHK婦人の時間 聞き手犬養道子

霊性が働きかけてくる

知性の内に向かふ働き、これを知性の内面的論理と云っておけば、この論理は情意的に一つの要請として感ぜられる。多くの場合では、精神の悩みとしての一般の人々に知られている。知性の外向的働きの目覚ましさに眩惑されて、その外に何等の要請を感ぜぬ人、…

仏教の大意① 鈴木大拙

仏教の大意は昭和21年4月23日〜24日にわたって天皇皇后両陛下のために大拙が講演したものを基礎にして起稿された。第一講『大智』では大拙の思想全般にわたって展開されている、無分別、無差別を中心とした霊性的直感、霊性的世界観に関して説明を加えている…