心は変えられない

悩みを持つ人が悩みから抜け出れなくなるときに陥っているのが、「こんなことで悩んでいる自分を変えたい」、「この心を変えたい」という思いだ。しかし、なかなか心は変わらない。むしろどんどんと深みにはまっていってしまう。

これは心というものが自分の意思とは関係のないところで自律していることを知らないからだ。嫌な気分、不安、恐れなど人間なら誰でも嫌である。しかし、あえてそのような心の働きをその自律性のあるがままに任せていると不思議とその思いが消えていくものである。

つまり、その不快な思いを悪いもの、病的なものと決め、それを治さないといけないと思うときにその思いは自分の中で存在感を増してしまう。そしてそれがさらに悪化していくと薬を使って思いを失くそうとする。しかし、そんなことをしても同じことだ。現代の精神医学がいかに間違った指導をし、人々を誤った方向に導いているかがわかる。

不快なときは不快なまま、嬉しいときは嬉しいまま。心に手出しをしないのが一番である。